ドタバタ通信 {出産特大号}(1989・1・29) |
前回予告しておりました、長男出産記念特大号です。出産描写がかなり、リアルであるという事をご承知置き頂いた上で、お読み下さい。
★ドキュメンタリー 1・1・29
赤ちゃんの出産予定とやらを明日に控えお母さんのお腹はいよいよパンパン。動くたび「フ〜、フ〜」言ってる。そして私に「もうすぐ赤ちゃんに会えるよ」って話してくれたけど、まさか今日がその日になるなんて・・・!
朝起きてご飯を食べてるとお母さんがおばあちゃんに「破水したみたい」とか「病院に行く」とか言ってる。ちょっとせかされてご飯を食べた。お母さんお医者さんに電話してる。私はおばあちゃんとタクシー呼びに行った。でっかいお荷物持って3人で出かけた。タクシーの中で「陣痛も来てないのに入院するかな・・・いややわ・・・」とか何とか言ってる。
お医者さんに着いて診てもらったお母さんニッコリして「今日やっぱりお母さんここ(病院)にお泊りだって。今日赤ちゃんに会えるって。」と言った。すごーい、嬉しかった!ヤッタ〜ッ赤ちゃんに会える〜!おばあちゃんも嬉しそう。
2階に上がってお母さんのお泊りする部屋に入った。お母さん寝巻きに着替えて、看護婦さんから点滴とか言うやつをつけてもらって、ベッドに寝転んでチョッとこわい顔で時計を見てる・・・・・でも赤ちゃんは?赤ちゃんまーだ?ねぇ赤ちゃんま〜だぁ〜?
★ドキュメンタリー 1・1・29(その2)
ねぇ〜っあ・か・ちゃん、まぁ〜だぁ〜!?私のこの思い一時間ほどで、ピークになった。お母さんは「一度帰って晩御飯のあと又いらっしゃい」と言った。え〜っすぐ会えるんじゃないのか・・・チェッつまんない、いったん帰ろ。そう思いここは素直に帰る事にした。
★ドキュメンタリー 1・1・29(その3)
この先は、記者(長女)が帰ってしまった関係で私自らペンを取らせて頂きます。11時30分頃破水の為入院。即陣痛促進剤の点滴。少しして軽いお腹の張り、3分間隔くらい。1時間ほどした頃先生から昼食を勧められる。そのころ長女も退屈でぐずり出してきたので帰ってもらう事にした。案外素直に「バイバイ」「がんばってね」と言ってくれた。
彼女にしてみれば、すぐにでもあかちゃんに会えると思ったんだね。ごめんね、もう少し待っててね・・・。彼女の背中を見送り私は昼食に取り掛かった・・・?・・・あれ?・・・陣痛止まってる!!まっいいか・・・ボチボチいこうと気を取り直しゆっくり昼食を食べる事にした。
★ドキュメンタリー 1・1・29(その4)
昼食が終わり点滴再開。先生も「経産婦だからもっとどんどん陣痛がきてもおかしくないはずだ」と、心配顔。時間を見ると1時30分、11時30分の時子宮口は“開きかけ”という程度それから約1時間の軽いお腹の張りがあっただけ、あ〜ぁこれから何時間かかるのだろう・・・え〜ぃ!弱気になるな!!今日中に会えるんじゃないか!!
又時計とにらめっこ。少しして、またまた軽い陣痛。あれ?今度は腰が張る。(そういえば私が生まれる時も母の腰が張ったそうだ。)1時間ほどした2時30分ごろ張りが強くなってきたけど、まだ充分会話もできるし、間隔も1分とか3分とかなぜか不規則。先生も看護婦さんも不思議そう。
2時40分オット!チョッとマジになった、急にきたぞ・・・ナースコールのボタンを押し「いきみたくなってきました。便意もあります。」と告げる。30秒ほどで、又陣痛がくる。ウ○チした〜い!看護婦さんに連れられてトイレへ、念のため分娩室内のトイレへ行った。“排便して良い”つまりきばって良いということ、だとすると私の子宮口はどうなっているのだろう?全開?それともまだまだ開きかけ?とにかくきばりたい。
横で看護婦さんが浣腸の用意をして下さっているのだが、とにかく待てず“う〜ん”・・・あれ〜ぇ?これは・・・あかちゃん?私思わず「赤ちゃん・・・?!」といったら看護婦さんは大あわて!「いやぁ〜えらいこっちゃぁ!(大変だ)出てきたわぁ!」「○○さ〜ん(助産婦さんの名前)はよ来て〜(早く来て)!○○さ〜んっはよ(早く)!はよ!」
★おめでとう出産です!
「○○さ〜んっはよ(早く)!はよ!」と言う看護婦さんの声、足の間にはさまった赤ちゃん、そしてそれを押さえる看護婦さんの手。私は膝まで下着を下げ、へっぴり腰で分娩台へと向かうのでした。いやぁ〜何処から見てもこの格好はコッケイじゃ。(頭を足にはさんだまま分娩台に乗るまでの看護婦さんの手際の良い事、サスガでした。)
分娩台で考えた事は、“子宮口は全開してるのかなぁ”“頭出てるって事は全開?”“あ〜いきみたい!”等々。赤ちゃんの頭をはさんでおいて、いきんで良いも悪いも無いもんだがパニクッテいたのかな・・・
すると何時の間にかかたわらに助産婦さんがいて、「早くいきんで!」やっぱり・・・?!「う〜ん!」すると待たされていた赤ちゃんの頭が出たのか、すぐに短促呼吸の指示・・・・全身がスルリと出た。
ぅわ〜、すご〜い!もう出たぞ!!ラッキー、早かった、らくちんだったぁ。あやうく便器に産み落とされそうになった我が子よ。ほんとうにありがとう!お待ちどう様。
★ちっちっちんちんだぁ〜!
スルッと赤ちゃんが体外へ出た時、私はその、あまりのあっけなさに目が点になってしまた。トイレに行きたかったのに・・・等と考えながらその点の目を点滅させた。そして男の子かな、女の子かなとワクワクしながらチラッと赤ちゃんを見た。その時その点の目に飛び込んだものは、そうです、“おちんちん”と“たまたまちゃん”がセットになって小さなアンヨ(足)の間に付いていたのだ!思わず「おちんちん!?」とくちばしってしまった私に先生は「立派な男の子ですよ。○○さん(助産婦さん)しっかりおちんちん見せたげてくれた?(見せてあげてくれた?)」
★優しかった健気だったお姉ちゃま
5月末産婦人科で妊娠を告げられた時、長女は私のお腹を覗き込むように「よかったね!」と言ってくれた。それから産婦人科で「順調ですよ」と告げられるたび「よかったね、お母さん」とニッコリしてくれた。
それから8ヶ月、入院し陣痛を待つ私の横でやっぱり「よかったね」といってくれ少し心配そうだった。そしていよいよ出産後、私の顔をのぞき込みやっぱりやっぱり「よかったね」と、とても嬉しそうに言ってくれた。そのやさしさに感動・感謝。ありがとう!
彼女は私にこの言葉を何度言ってくれた事でしょう。妊娠・出産がどういうものか、彼女がどこまで理解出来ているかは疑問です。でも私が嬉しそうなのを鋭くキャッチしすかさず「よかったね」と同意してくれその喜びを二倍三倍にしてくれた。彼女の優しさが心にしみわたった私は親バカです。何とでも言ってくれ!
★おわりに
お陰様で無事出産できました。ご心配頂いた事、そしてあたたかいお言葉をかけて頂いた事、本当に感謝の言葉もありません。今後ともよろしくお願い申し上げます。
それにしても創刊号に続き2号も発行できたぁ〜。ヤッタネ!いやはやお恥ずかしい出産特大号でした。生き恥をさらしてしまった・・・。特大号というだけあり随分長くなってしまいました。お読みいただいた方有難うございました。
次回のバックナンバー(1989年4月号)では東京に戻ってからのドタバタぶりが書かれています。
『一部紹介』「・・・・・(略)離れ離れの3ヶ月間パパとお母さんがやり取りした手紙はざっと60通・・・・(略)・・・・」とこんな具合です。ご期待ください。